ハバナからクーラーのガンガンに効いた高速バスに揺られ、Tシャツ短パンの僕は、歯をガチガチ鳴らしながらキューバのリゾート地バラデロに到着した。リゾートをこれでもかと満喫する為に結構な金額を出したので、オールインクルーシブ(飲み食い自由)の高級ホテルに泊まる事になった僕達。
ホテルのプライベートビーチでカリブ海を眺め、コーラとサンドウィッチを頬張る昼下がりをこれでもかと満喫していた。なんという贅沢・・・日本じゃ絶対に叶わない贅沢を僕は今しているのだ。一つ惜しいのは、回りが欧米人のカップルやファミリーだらけの中、男二人でリゾートしている事くらいだ。完全にアジア人のゲイカップルだと思われてただろう。
~プライベートビーチにて~
それにしてもカリブ海やばい。まず海水、青い。これでもかってくらい青い。飲めるんじゃないかってくらい青い。飲んでみたらやっぱり海水だったけど。でもきっと頑張れば飲める、たぶん。それくらい綺麗。
日本の海と違ってフナムシもいないし、波は穏やかで東映のロゴも全然似合わない。信じてないでしょ?いや、マジで。ほら!
こんなに穏やか。波一つないしプライベートビーチだから人も全然居ない。
ちなみに本物はこれ。
~東映(太平洋側らしいよ)~
日本とこれくらい違う海で、僕は小2時間程美しいビーチを眺めながら昼寝したり泳いだりとアホになってヴァケーションした。
楽しかった、本当に楽しかった!でも、そんなヴァケーションもいよいよ終わりを告げる時がやってきた。あの瞬間がやってきた。もう既に文体も整わなくなってきた。なぜなら旅行のこの後の記憶を思い出そうとすると、心がざわついて止まらなくなるからだ。今こうしている間にも精神が加速していく。正直行って旅行の記憶はここから先、だいぶ曖昧になっている。
夕方、総書記と夕陽を見に行った。サンセットビーチに沈む太陽を、この目で見るのだ。こんな貴重な瞬間は二度と訪れないかもしれない。そう思った僕はiphone6と、GoproHero4も持参した。
浜辺にGopro Hero4を、タイムラプスモードで設置。iphone6で写真を何枚か撮影した。帰ってきてから、友人らに見せるにはiphoneがちょうど良い。
そして、僕は一眼レフを構えて浜辺と太陽を撮影した。
カリブ海に沈んでいく太陽。美しい。
そして完全に見えなくなった。
撮影終了!あとは部屋に戻ってタイムラプスで撮影した動画をチェックするだけだ。
が
ない。
ないのだ、僕のGoproHero4が。
ついでにカバンもないのだ。
そのカバンには、さっき撮影した後でiphone6を入れて・・・・
入れ・・て・・・・・
「おんぎゃああああああああああ!!(精神崩壊)」
嘘、嘘でしょ、さっきまでここにあったんだ。僕の、僕のあいひょん6とゴープロひいろお4が!ここに!ここにあったんだよおお!なんでなんでなんで?嘘、いや、一眼で撮影に夢中になってたけど、そんな一瞬で?クイックリー?クイックリーに?誰が?妖怪?妖怪のせいなの?そうなのね!妖怪電子機器隠しが出たのね?ウォッチ!今何時?「iphoneで時間見てたからわ~から~ない~!」
「いやあああああああああああ!うそおおおおおお!嘘って言ってええええ!」
そのあと、大声で叫ぶ日本人に反応して、警備のおっちゃんが駆けつけてくれ、滅茶苦茶気の毒がられて励ましてくれたり、総書記がずっと慰めてくれたりした。あ、身体ではないよ。言葉でだよ。
その後警察に被害届出したり、ホテルの人にも協力してもらおうとしたけど断られたり、色々あった。
ここらへんからキューバの事は断片的にしか思い出せないけど、全体的に良いところだったと思う。
駄目だったのは、僕の、平和ボケ日本人代表の僕の、その危機意識のなさ。
リゾート地だからと完全に油断してた僕の問題。
これは悔やんでも悔やみきれない。
今思えば、Goproで動画を撮影中、後でアップロードできるように一人喋りとかしてたのも、ただただ虚しい。
あの動画、誰か見てくれたんだろうか、犯人でもいい、見てくれただろうか。
僕の旅の思い出、一度は見てくれてたらいいな。
あいふぉんもごーぷろも、買って2ヶ月も経ってないんだ。
せめて大事につかってくれよ・・・・
大事に・・・・
ってくっそおおおおおおおおお、そんな割り切れるかあああ!!!ふっざけんじゃねえええええええええ!!!大体観光客しかいないはずのプライベートビーチで盗まれたって事は犯人はこのホテルに居るんじゃねーか!出て来いよおおお、何人だ貴様ああああ!結構な金額払って来てるんだから貧困層じゃねえだろ、何だ?リゾートついでに宿泊代も稼いじゃった☆ってか!優秀だなこのヤロ!優秀な盗人だよ!アホ面してカメラ覗きこんでるアジア人がいるんだもんな、こんなちょろい盗みもあったもんじゃねえよな!あぁもう馬鹿で悪かったな!あー死にたい!死んでしまいたい!
はぁはぁ
ちくしょう・・・ちくしょおおおおおなんでk(しばらくの間、このアホが撮った美しいキューバの風景をお楽しみ下さい。
BGMはこちら
はぁはぁ・・・・
この事件の次の日、僕達はトリニダーの町へ向かった。
僕は半分呆けて、記憶は曖昧だけれど、トリニダーもとても良い町だった。ハバナのような都会とも違う、人と人との距離の近い、田舎ならではの暖かさがそこにはあった。
日本人観光客が書いたと思われる、日本語の誘い文句に釣られて行ったカサのおばちゃんは、本当に親切で、飯もとても美味しかった。
元気な子供達との出会いもあった。
いつもカメラを向けると笑顔を見せてくれるその笑顔に、ずいぶん癒された。
沢山の楽しい思い出をありがとう!
保険おりるかな(泣
~キューバ旅行記 完~