僕の趣味の一つに、いわゆるガッカリ観光地巡り、ガッカリ観光スポット巡りがあります。国や地方自治体がよかれと思って作ったニッチな博物館とか、町おこしが失敗した記念館とか、個人が趣味を昇華させたテーマパークとか。経緯はともかく、いい感じに熟成されたB級C級感に、ちょうど良い具合に脳が震えてエクスタシーを感じます。感じないんですか?感じてください。またつまり、僕自身はあまりガッカリしていないんで、ここでは脱力系観光スポットとしておすすめしていこうと思います。
脱力系観光スポットには、独特の魅力、全身の力が程良く抜け、世の中の争いごとなどどうでも良くなる力があります。ちなみに、文体がですます調になって柔らかくなっているのも、もちろん脱力系観光スポットの効果によるものなのです。間違いない!(2004年下半期最先端ギャグ)
今回紹介するのは、石川県白山市にある「白山恐竜パーク白峰」
名前から分かるように、恐竜がテーマの施設です。北陸地方では福井の恐竜博物館なんかが有名ですが、この白山恐竜パーク白峰も負けちゃいません。古くっさい恐竜のフォルムに、朽ち果てた遊具、きっと10年後も同じ場所で哀愁を漂わせている事が容易に想像出来るその姿に、あなたはA級観光地には無い脱力的魅力を感じることでしょう。
まあ百聞は一見にしかず、さっそく見ていきましょう。
山奥にポツンとたたずむ恐竜が目印です。
建物の前で一枚。
パークに近づくと、スピーカーから何とも寂しいメロディが流れているのに気づきます。RPGなら、昔魔物に襲われて若者はみんな居なくなったけど、老人と女子供だけが細々と暮らしている村、といった感じのBGM。
連休初日のお昼でしたが、車は数える程しか停まっていませんでした。しかし人が少ないのも脱スポ的に好ポイント。ゆっくりと見て周れますからね。
受付には人が居ませんでしたが、しばらくして口に物を含んだおばちゃんが慌てて出てきました。
入場料は大人500円でした。
ロビーには産卵中のトリケラトプスがお出迎えです。
さっそく館内に足を踏み入れると、目の前にはティラノサウルスが!
ご覧ください、最高です。
腕がプルプルと動くティラノサウルス。
整備が行き届いていないのか、ギギギと鉄の骨組みがきしむ音がしています。
ちなみに、ティラノサウルスかと思ったらチランノサウルスでした。
正しい発音には諸説あるみたいですが、施設の年季を感じます。
素人目に見ても、スピノサウルスは明らかに脚のついてる位置がおかしいと思う。
モニターは残念ながら調整中でした。
2年前に来た時も調整中でしたから、困難な調整を伴うようです。
唐突に廊下においてある、恐竜の頭部。
一体の恐竜かは分かりませんが、不細工な造形で、実に切ない表情をしています。
しばらく廊下を進むと首長竜にボールを投げる、楽しいゲームが。
館内から出てしばらく歩くと、化石の発掘体験コーナーがあります。
写真を撮った時は誰も居ませんでしたが、夏休み期間中は結構な数の親子がカンカンカン・・・と悲しい音楽の中でひたすらハンマーを叩く風景が広がります。
その横には恐竜たちが立っています。
ゴジラをベースにしたようなどんくさくも愛らしい姿をしています。
そして、僕の好きなトリケラトプス。
立ち入り禁止のネットの中で、雑草が生い茂ったトリケラトプスの遊具。当時彼の中を、子供達が楽しそうに遊んでいたのが目の前に浮かぶようです。
角は折れ、皮膚ははげ落ち、それでも取り壊される事なく、たくましくそこに存在しています。ノスタルジックなBGMと共に。
一通りゆっくり見て周っても3、40分ほどで一周出来るでしょうか。先ほどの化石の発掘体験では、実際に高確率で植物の化石が取れるらしいです。
宙に10センチ程浮いたような、ふわふわとした優しい気分に包まれたまま僕は白峰恐竜パークを後にしました。心の底から楽しんだかと言うと、少し嘘になります。でも、こんな不思議な気持ちになれるから、脱力系観光スポット巡りはやめられません。
おわり
追伸:その後恐竜博物館に行ったらすっげえ楽しかった。