ロッキン神経痛のブログ

脳みそから出るアレをこぼさずジップロック

前世はマリーアントワネット

 今朝ひどい夢で目が覚めた。破裂音と声の中間くらいの奇声をあげて飛び起きたのは、夢の中で口が裂けた恐ろしい化け物に食い殺されつつある瞬間に現実に引き戻されたからだ。化け物に取り出される自分の腸を見る光景は、あまりにも夢とは思えない程の臨場感だった。まだ薄暗い部屋で冷や汗がツツーッと頬を伝う。もしかしたらさっきまでの事はただの夢ではなく、平行宇宙で口裂けの化け物相手に戦った戦士だった頃の前世の記憶だったのかもしれないと思った。

 それならあの異様なまでの臨場感にも納得がいくだろう。それにしても木造二階建ての実家に入り込んだその化け物達に、僕は果敢にも徒手空拳で挑んだのだから殺されるに決まっている。武器になるものを探そうともせず、うろたえて泣きながら特攻アタックを仕掛けるその様子から見るに、パニックになると全く駄目になるマヌケさは、前世から変わっていないようだった。

 

 前世で思い出したのが数年前のスピリチュアルブームの頃の話だ。ある番組で、前世が見えるとかいう胡散臭い霊能力者が、テレビに出てくるタレントを診断していくのだけれど、その前世にやたらと誰でも聞いた事のある中世ヨーロッパの有名人ばかりがあがっていたのを覚えている。

 その番組やその頃のスピリチュアル番組なんかでは、マリーアントワネットの産まれかわりだなんて診断される有名人が一体何人居るのか分からない程多かった。歌うマリーに演じるマリー、踊るマリーに論じるマリーと多種多様なマリー達が日本の芸能界に生まれ変わりまくっているというのだから驚きだった。

 この一見矛盾するような現象に対する疑問に対する能力者達の説明は、「魂は生まれ変わる時に分裂する事があるから、同一人物が何人も居てもおかしくないし、矛盾はしていない。」という、もっともらしく聞こえるが普通に考えたら苦しい言い訳そのものだった。

 僕はこの、全人類が魔神ブウに殺されてもドラゴンボールがあるから蘇り余裕でした理論のような、えらくご都合主義の解説を見て、魂ってP2Pソフトで拡散される割れアニメみたいなもんなんだなぁ、とえらく感心したのを覚えている。決して、その中年超能力者の世代から推測するに、ベル薔薇の登場人物から適当に選んでるんだろうなぁ、などとは一瞬も思わなかった。

 それにしても、この理屈からすると僕の魂も、マリーアントワネットがアメーバのように分裂した魂の一つだったりする可能性があるのかもしれない。しかし人気アニメほど違法コピーされやすいように、僕の魂も本人の許可なくコピーされた、海賊版のノーライセンス魂である可能性はないだろうか。引いた冷や汗がまたジワッとあふれた。

 いつか僕が死んだ時、フランダースの犬の最終回のように、空から日本著魂権協会(TAMARAC)の天使達が降ってきて、魂の利用料ウン十年分を一括請求されてしまう恐れはないだろうか。それを考えると、どうか僕の魂が著魂権フリー素材から出来ているか、著魂権切れの古代人からの転生である事を祈るばかりである。

 なあんて事を考えながら、今日も華麗にシャワーを浴び、朝食に納豆かけご飯を食べ、アムウェイの歯ブラシで歯を磨いて家を出たのだった。今日も地球は平和だ。

 

 

ベルサイユのばら 全5巻セット (集英社文庫(コミック版))
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